ダイエットの失敗を経験している方におすすめ!「食への依存を理解する:『Hooked』からの教え」

学習

書籍情報

タイトル: HOOKED(フックト)
著者: マイケル・モス
出版日: 2021年3月2日
ジャンル: ノンフィクション、食品業界、ライフスタイル、生物学
ページ数: 304
ISBN-10: 0812997298
ISBN-13: 978-081299729

この本と出会ったきっかけ

私は食習慣や栄養に関心があります。良い食生活は人間にとって非常に重要だと考えています。
子どもの頃、私は自分の体型を気にしたことがありませんでした。その理由のひとつは、私が活発な子どもだったからです。母は私に栄養のある健康的な食事を取らせようとしてくれましたが、私はファストフードやお菓子が大好きでした。

高校・大学時代には、競技のために体重を約10ポンド(約4.5kg)減らさなければならないことがありました。最初の減量は本当に大変でした。健康的に痩せるための知識がなく、試合では力が出ませんでした。その経験を通して、「何を食べるか」がどれほど重要かを痛感しました。その後も何度か減量を経験し、そのたびに食事の重要性を意識するようになりました。そうした背景から、自然と食習慣や栄養に興味を持つようになりました。

私は人生のほとんどを日本で過ごしましたが、アメリカに来てから「人々が何を買い、何を食べているのか」に驚きました。スーパーに行くと、大量の加工食品が並んでいて、エナジードリンクの大きさにも驚きました。また、アメリカでは体型の多様性を強く感じました。実際、アメリカに来てから私自身も5〜10ポンドほど体重が増えました。この経験から、「食品業界がどのように成り立っているのか」に興味を持ち、この本を手に取ったのです。

本の概要

短い要約

人間の体は、より多くのカロリーを摂取し、脂肪を蓄えるように設計されています。つまり、砂糖や脂肪を含む食べ物を食べると快感を得るようにできているのです。しかも、それらを一緒に食べると、別々に食べるよりも幸福感が高まります。
腸、遺伝子、記憶など、私たちの食習慣をコントロールできなくする要因は多く存在します。そして企業は、私たちの身体の反応を利用して利益を上げています。したがって、私たちにできることは、「加工食品を欲するように仕向ける企業の仕組みを理解し、意識的に注意を払うこと」です。

重要なポイント

依存とは、自発的な行動ではなく、「やめたいのに繰り返してしまう行動」と定義できる。
食品は、入手のしやすさと繰り返し食べる機会の多さから、薬物よりも依存性が高い場合がある。
スピードが依存の鍵。食べた物質が脳に届くまでの時間が短いほど、依存性が高まる。(砂糖は薬物注射より速く脳に届く)
記憶その反応は、私たちの食習慣と深く関係している。つまり、過去の食体験が現在の食習慣を形づくっている。
腸の感覚嗅覚も、私たちを高カロリーで多様な食品へと引き寄せる要因である。
私たちは「便利さ・安さ・多様性」を求める傾向があり、それが加工食品を選ぶ理由のひとつになっている。
**高タンパク・低GI(血糖値上昇を抑える)**の食品は、減量成功に効果的。
遺伝的要因も、食べ物への反応に影響する。

興味深い事実や研究

話すこと、匂いを嗅ぐこと、舌で味わうことだけでも脳は刺激される。
物質が脳に届くスピードが速いほど、脳の反応も強い。例:ニコチンや注射薬は約10秒で脳に到達。砂糖はその半分の時間で届く。
2〜11歳の子どもが1日3時間19分テレビを見ると、高脂肪・高糖質食品の広告を23本見ることになる。
嗅覚受容体は340〜380種類の基本的な匂いを識別でき、それが1000通り以上の香りの組み合わせを生み出す。
風味の80%は匂い分子によるもの
オハイオ州では3分の1の住民がテレビをよく視聴しており、肥満率が高い傾向にある。
戦争中に飢餓を経験した母親から生まれた子どもは、肥満や糖尿病のリスクが高い。

お気に入りの引用

“Addiction is a very complex behavior that’s not determined by any one thing.”
「依存は、単一の要因では説明できない非常に複雑な行動である」(p.15)

“We eat what we remember, but also, we eat to forget.”
「私たちは、記憶のために食べ、また忘れるためにも食べる」(p.71)

“It’s not so much that food is addictive, but rather that we by nature are drawn to eating, and the companies have changed the food.”
「食べ物そのものが中毒性を持つというよりも、私たちが本能的に“食べること”に惹かれ、企業がその性質を利用して食べ物を変えてきたのだ」(p.147)

“The less time that food took, the more energy it saved and the more attractive it was to us.”
「調理や摂取にかかる時間が短いほど、私たちはそれをより魅力的に感じる」(p.110)

“If we were going to insist on eating better, the industry would define what better means and then own that, too.”
「もし私たちが“より良い食事”を求めるなら、業界は“良い”の定義さえも自分たちのものにしてしまう」(p.187)

この本を読んで感じたこと

この本を読んで、食事やダイエットにおいて最も大切なことを学びました。
それは、「人間は本来、高カロリーな食べ物を好み、便利で安価なものを選びやすいようにできている」という事実です。

読む前の私は、「なぜ人は自然にほうれん草やブロッコリーを食べたくならないのだろう」と疑問に思っていました。そして、「肥満や暴食、加工食品への依存は本人の意思の弱さのせいだ」と考えていました。
しかし、この本を通して、それが単なる意志の問題ではなく、「私たちの生物的な本能」や「企業の戦略」によるものだと気づかされました。

腹立たしいのは、食品メーカーが私たちの健康よりも利益を優先していることです。彼らは人間の本能を利用して製品を作り、「体に良さそうな」パッケージで私たちを安心させます。私自身も、パッケージの表面にあるキャッチコピーだけを見て、裏面の成分表を確認せずに商品をカゴに入れてしまった経験があります。

とはいえ、私たちにはまだ「選ぶ力」があります。
企業の戦略を見抜き、自分の体に何が良いかを学び続けることが大切です。
この本を読んだ今、私は「高カロリーなものを食べたい」と思っても、自分を責めないようにします。それは人間として自然なことだからです。
そのうえで、食品のラベルをより丁寧に確認し、「本当に健康的なもの」を選ぶ努力を続けていこうと思います。また、パッケージの宣伝文句を鵜呑みにせず、企業が利益のために仕掛けている戦略を意識的に見抜いていくつもりです。

この本をおすすめしたい人

不健康な食事をしてしまう自分を責めている人
食べ物が私たちに与える影響を知りたい人
なぜ私たちは特定の食べ物を欲してしまうのか、その理由を知りたい人
この記事の原本(英語版)はこちらからご覧ください

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