書籍情報
タイトル: 習慣の力(The Power of Habit)
著者: チャールズ・デュヒッグ
出版日: 2014年1月7日
ジャンル: ノンフィクション、ビジネス、自己啓発、ライフスタイル
ページ数: 416
ISBN-10: 081298160X
ISBN-13: 978-0812981605
この本との出会い
この本に出会う前から、私はすでに「習慣の重要性」に気づいていました。
日々のモチベーションや重大な決断は、私の自己規律や成功率とは必ずしも関係していないことにきづきました。
むしろ、私を前進させ続けたのは、無意識に行なっているルーティンや習慣でした
たとえば、日本の大学入試に向けた大規模な試験勉強では、1年間を通じて膨大な学習が必要でした。最初のうちは、10時間以上の勉強を継続するのが苦痛でした。しかし、具体的な習慣を作り始めてからは、それを行うにあたり、だんだんと容易になりました。
このような習慣を始めました。毎朝、同じ道を10〜15分ほど犬と散歩する。決まった時間に食事と睡眠を取る。そうして小さな成功体験を毎日積み重ねていきました。
この方法によって、私は毎日10時間以上勉強できるようになり、最終的に試験に合格することができました。
私の人生の中でこの法則はなんとなく気づいていたので、書店でこの本を棚で見つけたとき、すぐに手に取りました。
自分の経験が本当に正しいのか、研究に基づく答えを見つけられると思ったからです。
これが、私がこの本と出会ったきっかけです。
要約
短いまとめ
習慣を変えるには、「習慣を生み出すパターン」を見つけることが重要です。
この「習慣ループ」は、
合図(Cue)・行動(Routine)・報酬(Reward) の3要素で構成されています。この3つを明確にすることで、人は習慣を変えやすくなります。さらに、習慣を変えるという信念を強めてくれる「コミュニティ」を見つけることも重要です。
本書では、習慣が
個人・組織・社会 の3つのレベルでどのように作用するかを解説しています。
要点
習慣は「合図」と「報酬」を維持しつつ、「ルーティン」を変えることで変化させられる。
波及効果をもたらす「基幹習慣(キーストーン・ハビット)」を見つけよ。ひとつの重要な習慣を変えると、他の要素にも良い影響を与える。
意志力を必要とする行動は、一日の中で早い時間帯に行うべき。
組織では、従業員に与える権限は「多すぎず、少なすぎず」が鍵。
「匿名性」「親しみやすさ」「快適さ」が、新しいものを人々が受け入れる鍵となる。
どんな習慣でも、「変えられると信じること」が最も重要。
強い友情(強いつながり)、仲間からの影響(弱いつながり)、そして信念に基づく自己推進力(信仰の習慣)の組み合わせが、大きな社会運動を生み出す。
面白いと思った事実や研究
人々の日常行動の40%は、実際の意思決定ではなく習慣によるもの。
大脳基底核を失うと、私たちは毎日頼っている数百もの習慣にアクセスできなくなる。
スーパーマーケットは、人々がより多く購入するように設計されている(例:入り口付近に新鮮な野菜や果物を配置)。
意志力は筋肉のように鍛えることができ、使いすぎると疲労する。
従業員に「コントロールしている感覚」を与えると、仕事における自己規律が高まる。
「弱いつながり」は、自分が属していない社会的ネットワークへのアクセスを提供する。
印象に残った引用
「合図はルーティンを起動させるだけでなく、報酬への渇望も引き起こさなければならない」(p.51)
「信念こそが、再構築された習慣ループを恒久的な行動へと変える要素だった」(p.85)
「基幹習慣は、困難な決断や不確実な瞬間において明確な価値観を示す文化を生み出すことで、私たちを変える」(p.125)
「人々の食習慣を変えるには、異質なものを身近なものにしなければならない。そのためにはあらゆる装いでカモフラージュする必要がある」(p.205)
「私たちが無意識に時間、注意、お金を費やす方法——それらは存在を認識している習慣だ。習慣が変えられると理解した時、私たちはそれを再構築する自由と責任を得る」(p.271)
本書への感想
本書を通じて、さまざまな視点から習慣の力学を探求するのはとても楽しかったです。
読み終えたあと、誰でも習慣を変えられると感じました。この本は人々に自信を与えてくれます。
習慣を形づくるシンプルなパターン——合図、行動、報酬。
このループを見つけられれば、習慣を変える可能性は高まります。
ただし、すべての習慣は強固でありながら繊細でもあります。一度形成された習慣を変えるのは難しいのです。ループの要素のひとつでも欠けると、習慣は続きません。
この本を通して、人生のあらゆる出来事には「パターン」が存在することを実感しました。
出来事は偶然に起こるのではなく、必ず理由がある。今では、あらゆる現象の背後にあるパターンを見つけようとするようになりました。
本書は個人、組織、社会という3つの視点から書かれており、大学生、ビジネスパーソン、習慣を変えたい人など、誰でも読める内容です。
特に印象的だったのは、「人間は常に意思決定しているわけではなく、習慣に従って生きている」という指摘でした。
おすすめの読者
習慣を変えたい人
社会現象が起こるパターンを知りたい人
習慣を通じてビジネスを成功させる方法を知りたい人
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